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musica21 part 2

不発

今日は思いっ切り声楽家的発言です。やや堅苦しいのはご容赦を。

先日の大雨の日、日本声楽発声学会定例会で芸大名誉教授の嶺貞子先生がイタリア歌曲の公開講座をなさいました。嶺先生は、私の恩師岡部多喜子先生のお弟子さんであられました。恐れながら同門の大先輩です。岡部先生は長年芸大大学院で、「近代イタリア歌曲講座」を開いていらっしゃいました。岡部先生の退官後は嶺先生がその講座を受け継がれましたが、嶺先生の退官後はどうなっているのか?わかりません。

私は大学院時代3年間その講座で、レスピーギ、ピッツェッティ、ゲディー二、アルファーノ等の近代イタリア歌曲を学びました。今のようにCDやYOU TUBEなんてものがなかった時代、歌詞の翻訳から何から手探りで勉強したのが、今となっては良い思い出です。それらの作品群が、未知の宝物の山に思えたものでした。しかし、イタリアに留学して分かった事は、実はそれらの作品群はイタリアでもあまり演奏されていないばかりか、レッスンできる先生もあまりいない、という驚きの事実でした。やはりイタリアはオペラの国。歌曲は陰の存在なのです。確かに歌詞の内容が現代で共感を得るのが難しい部分もあるのですが、音楽としては完成度が高く「歌い甲斐」のある作品が多いのです。特にピッツェッティ、レスピーギの歌曲は同時代のドイツ、フランスの歌曲と肩を並べられると思っています。

日本声楽発声学会で峰先生がイタリア歌曲の講座をなさるにつき、演奏をしてくれないか、とお話を頂いた時、こりゃあ歌わずばなるまい、と思ったのは以上のような私なりの歴史があったからです。でも最大の問題はピアニスト。私が歌う事になったレスピーギは、ピアノが大変達者だったので、(歌手の伴奏者としても活躍していた位)彼の作品はピアノパートが難しい。ピアノソロに歌が伴唱していると言ってもいいような、部分もあります。あまり時間がなく、ギャラもないのに誰がピアノを弾いてくれるだろう?ちょっと弾いてと言えるような曲じゃないしなあ。と頭を抱えたのでしたが...。

困った時のtonacja頼み.....しかないと縋る思いでの無茶振りを、tonacjaさんは快く引き受けてくれました。そしてそれは熱心に一緒に勉強してくれて、お陰で私はレスピーギの様々なメッセージを、新しく理解することが出来たのでした。tonacjaさん、ありがとうね!

ところが、当日は時間の関係で「半分」しか歌う事が出来ず、特にピアノの素敵な所が披露出来ませんでした。何て残念な!tonacjaさん、ごめんね!

あんまり勿体ないから、不発に終わった今回の勉強の結果を、いずれどこかで皆さんに聞いて頂きたいと思っています。レスピーギ、ピッツェッティ達の作品を、きちんと紹介するのも、私の「宿題」かな?とも思いまして。

しかし、寒いではないですか!明日から6月というのに、私はこれを炬燵で書いているのです。我家の炬燵史上最も遅い記録であります。どうなっているんでしょうね。皆様風邪にご用心なさいませ。
by musicaventuno | 2011-05-31 19:41 | claudia