人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ブログトップ

musica21 part 2

受難楽

先日、東京カテドラル聖マリア大聖堂において、シュッツ「ルカ受難曲」とリスト「十字架の道行」を聞いて来ました。キリストの受難を伝える為に書かれた受難楽は多々あれど、この二つを一夜で聞けることは、ほとんどありますまい。折しも演奏中に、日本一大きな聖堂を大きな揺れが襲いました。巨大な空間がぎしぎし鳴る中、演奏者も聴衆も身じろぎ一つせず聞き入ったのでした。演奏者はたぶん地震には気づいていなかったと思われますが。(それどころではない)

音楽は、余分なものの何ひとつない、透明な力に満たされておりました。その昔、人間の声とオルガンだけが教会の中で許された音楽であったことを、改めて思い出しました。それには確かな意味があったのだと、一瞬感じることができました。人の魂に直接働きかけ、浄化する作用において、この二つは別格なのだと思います。

それにしても、リストの「十字架の道行」は不思議で凄い作品です。「愛の夢」や「カンパネラ」を作曲した人とは到底思えない!!人間とは実に多面的で奥の深いものなのですね。

昨日も授業中に大揺れ。心ごと揺れているような毎日ですが、心の耐震装置として、音楽の力が充分に発揮できるようにしなければと思っております。
by musicaventuno | 2011-04-13 22:38 | claudia